抱きしめて 夏2

海岸にひろがる駐車場で私は君を抱きしめた。

 

先ほど飛ばされた帽子は波間に漂っている。



開けたままの車のドア。

そして聞こえるTUBE。


ギュッと力をこめた。



空を舞うカモメが抱き合う私達を

恥ずかしそうに見下ろす。


高鳴る胸の鼓動は

まるで空をかけていた。

カモメの様に。


君を吸収したいと願った。


潮の香りに包まれて。

美しい君の記憶。


この一瞬を、永遠としたかった。



何も考えずに、抱き合う。

カローラを背にして。


体を抱き合わせたまま

二人の間にはぬくもりだけがあった。

このぬくもりは私のものか

それとも君のものか。

これ以上のない快適な温度だ。


 

私は空ばかり見つめていた。

それは怖かったのだ。

君を見るのが。

君の顔を見つめなかった。

見つめたかったが。


君の吐息も 

鼓動も

しらんふりをした。強がり。


ただ手探りでぬくもりを求めた。



空は どこまでも蒼く

カモメは白い。


そして君のポロシャツは青く、

私のTシャツは白いのだ。